ブログ記事のはじまりや、コンテンツの一覧に表示されるアイキャッチ画像は読んで字のごとく、利用者の Eye(目)を Catch(引く)して、その先に誘導することが目的の画像です。ブログやnoteやYoutube、TwitterやFacebookなどで使われ、LINEでURLを送っても表示がされます。

クリックしてみたいと思わせるのが大きな目的になると思いますが、一覧で並ぶと、全体の雰囲気が出てくるので、ブランディングと呼ぶには大袈裟ですが「っぽさ」をつくる働きもあるでしょう。

LINEに表示されるアイキャッチ画像
LINEに表示されるアイキャッチ画像

実際のところどうあるべきか、は簡単な話ではないですが、村上龍氏の「愛と幻想のファシズム」の中で、ゼロと呼ばれる男が引用する、ナチスの宣伝大臣だったゲッベルスの言葉が参考になりそうです。この言葉を拾い出したくて、長編小説を読み直しました。下巻の5ページ目。

ゲッベルスは、宣伝を次のように定義しています、『どんな種類の宣伝が有効か、また逆に無効かを決定する理論上の公式はない、望んだ結果を生み出す宣伝がよいのであり、それ以外はすべて悪い宣伝である、たとえどれほど魅力があってもである、宣伝の任務は、人を楽しませることではなく、結果を生み出すことにある……

アイキャッチ画像の場合には、それを用意すれば、クリック率が高まるとか、「○○っぽい」と心や記憶の片隅にでも残るような画像とは何かを考えてつくることになります。

* * *

ここからは制作の基本的な考え方、WEBの特性、テクニックを最近の仕事3つから見ていきます。
ゲッベルスの言うように理論上の公式はないのだとすれば、アイデアや手法はたくさん持っておいた方が良いはずなので、そのひとつにでもなればと思います。

激旨!タイ食堂用

激旨!タイ食堂用 アイキャッチ画像

1枚目はタイ料理の紹介メディアとして抜群の「激旨!タイ食堂」の記事用。
ちょうど運営者の西尾さんが事務所隣のカオソーイ屋に取材に来たことがきっかけでやらせてもらうことになりました。

日頃のアイデア集めは簡単にできる引き出し増し増し

「激旨!タイ食堂」は、すでに多くの閲覧者がいるメディアです。メディア内の他の記事よりも目立つためにはどうするのが良いか? 
ざっと過去の記事を見ると一面に写真を置いているのが多くあったので、逆に枠内が埋まっていない、隙間の多いものだと他との違いが出せそうだな、と考えました。

続いて、この作業をする少し前に街で見かけた、かっこいい表現があったので記録しておいた写真を見返します。
カオソーイのどんぶりの後ろにビビッドな色味で何かを配置、それとタイトルが載ればOK。

MRTの駅構内で見かけた看板
MRTの駅構内で見かけた看板

まだパソコンに向かって手を動かしてはいませんが、イメージができえてしまえば、作業のほとんどは終わったようなものです。
あとはイメージにあわせて画像をつくるだけ。

日常生活の中で気になったものは記録しておくと、制作の助けになります。
表現の仕方、色味、ロゴマーク、コピー。外を歩いている時でもいいし、SNSに流れてくる画像、映画やWEBサイトや雑誌など、どこからでも簡単に集められます。

非常に簡単にできて、自分がどういうものに良いと感じるかも見えて、きっとそういうものが自分の得意な表現にもなるのだと思います。
数が増えてくると、とりとめがなくなるので、ボクは月ごとのフォルダで管理しています。数年前の記録が古い表現になることはないので貴重な財産になることでしょう。

画像の扱いに神経質になりすぎないで

アイキャッチ画像に限らずWEBで画像を見る場合、特にスマホで見る場合、どんなに大きくても画像のサイズはスマホのスクリーンサイズが最大となります。そのため髪の毛のような細かいものを切り抜くのでも、元の大きな画像でざっくりと切り抜いて、サイズを縮小するとピクセルが潰れて、問題なく見えることがあります。これは他の媒体と比べても大きな特徴になると思います。

また素材を左右や上下反転するとうまくいくのであれば、反転してしまいます。場合によっては、車のハンドルの左右が逆とか、着物の襟の左前・右前が逆とかいう違いもOKになる場合もあるでしょう。この場合には、カオソーイの「カ」の文字が器にかかって読みづらいので、反転はする必要がありませんが、反転しても何の問題もないことが分かると思います。

カオソーイのどんぶりを左右反転しているところ
カオソーイのどんぶりを左右反転しているところ

画像の加工は両さんの技術が参考になります。

色は画像の中から選ぶと良い

文字と背景に明るい色を選んだところ
文字と背景に明るい色を選んだところ

はじめのアイデアでは看板と同じくビビッドな色を使いたいと思ったのですが、どうもしっくりと来ない。
こんな場合、常套手段で写真の中の色を使うと、画面が落ち着きます。
タイトルにスープの色、背景の飾りにネギの色を選びました。

看板ではロゴマークか何かの形が使われていた背景ですが、タイの文様やパターンをはめ込んでみましたが、これもしっくり来なかったので、タイ語でカオソーイの文字を入れることにしました。その国の文字は雰囲気をつくる素材にもなります。タイ人向けには日本語が素材として使われているのも多く見られます。

最終形
最終形

実際のページ

【オンヌットのカオソーイ専門店】71歳のエネルギッシュな店主が手がける「カオソーイキッチン」

YouTubeチャンネル 西尾康晴/Nishio Travel カオソーイ特集用

YouTubeチャンネル 西尾康晴/Nishio Travel カオソーイ特集用アイキャッチ画像

2枚目は、同じく西尾さんの運営する自身のYoutube動画用のアイキャッチ画像。

人の顔に引かれる、我々の目

1枚目の時と同じ様に、まずは掲載場所の確認。現状がどのようになっているか。過去分では西尾さんや店主の写真がたまに使われているものの、食べ物の写真が中心。であれば人の顔を使うことで、利用者の目がそこに集まりやすいのではないか。

我々の目線は人の顔に向きやすいとか、写真中の人の目線を追ってしまうとかいう習性があるようです。他にも目を引く3Bと呼ばれる、Beauty(美人)、 Baby(赤ん坊)、Beast(動物)があります。もちろん美人ばかりがいる中に美人を並べても際立つことはないし、何が美人か、男性社会を中心に考えてない?とか色々あるし、これもあくまでもひとつの引き出しにです。

盛り盛りのやつ

担当するサムネイルの動画はカオソーイ特集で、6つのカオソーイ屋を編集で1本にまとめるものでした。
6人の店主+西尾さんの顔、それと6店舗分のどんぶり、それにタイトル。
これはなかなか盛り盛りの内容になりそうだ。それであれば、とことん盛り盛りにしようか。
盛り盛りのクリエイティブはボクの十八番おはこでもあるし、西尾さんもこの動画には気合が入っているみたいだし、これはいいものになりそうな予感がする。

どれだけの時間を使うべきか

アイキャッチ画像作成の作業は、記事や動画のコンテンツを公開するたびに発生します。これを何本かやれば、その月はおいしいご飯が食べられる仕事であれば時間をかけても良いですが、残念ながらそういう種類の仕事ではないと思うので、あまり時間をかけずに、30分で終わらすなどと決めると良いでしょう。そのために、パソコンを使う前にイメージを固めておきたいものです。

顔出しOKの店主は2名となってしまいましたが、膨張色の赤を背景に、3名の顔をポップにあしらい、6食分のどんぶりを並べて仕上げました。この動画は現在、西尾さんのチャンネル中、2番目の再生数で、1万回を超えています。(2020年10月12日現在)

あるインスタントコーヒーの開発と販売がうまく行った時に、あのコーヒー豆のブレンド具合を決めたのは俺だ、パッケージデザインをしたのは私だ、コピーを考えたのはボクだ、販促キャンペーンを行ったのはワタシだ、、、と皆がその仕事に関わったことを言いたがったそうです。

もちろん、動画が多く見られているのは、その内容が魅力的で、チャンネル自体のファンが増えていることに起因するわけですが、アイキャッチ画像もその理由のひとつであると言いたいのは、適当に取り組んだわけではないからです。

実際の動画

YouTubeチャンネル 西尾康晴/Nishio Travel LIVE用

YouTubeチャンネル 西尾康晴/Nishio Travel LIVE用アイキャッチ画像

最後も西尾さんのYoutubeチャンネルで、タイ人のピムさんとのコラボ用です。

想いの持ちすぎには注意

ピムさんはタイ語のレッスンを発信していて、Twitterはフォローしていましたが、Youtube動画を見たのは今回が初めてでした。ม บ ป พの発音の解説は理論的で、苦手な人はこれで獲得できるかもしれません。

これだな、と思ってクリエイティブの素材として拾い出したのは、ある動画の終わりでの言葉です。Youtuberが言う「チャンネル登録よろしくね〜」のようなひとつの決り文句があると思いますが、「チャンネル登録」ボタンが英語では「Subscribe」になっています。これをタイ語で似たような響きの สับตะไคร์(Sab Takrai)に言い換える冗談に目をつけました。

Subscribe ≒ Sub Takrai の場面
Subscribe ≒ Sab Takrai の場面

もう10年くらい前ですが、日本語を上手に話すタイ人が「お疲れ〜」をもじって「オジャカレ〜」と言っていたのを思い出しました。จักแร้(ジャカレー)は、ワキの下の意味で、その前に日本語の丁寧語につく「お」をつけて、「オジャカレ〜」だったわけですが、当時これを聞いたボクは、実にうまいなぁと関心して、それが今ここに使える機会がくるとは、と息巻いて作業にのぞみました。

イラストはピムさんが描いてくれ、書体は手書き、色使いもピムさんのチャンネルに合わせて用意したのが、これ。

ワキの下がリアルな写真バージョン
ワキの下がリアルな写真バージョン

画像と一緒に、おおまかな考えを西尾さんへ送ると、しばらくしてからLINEに「ワキの下というのは、ピムちゃんのギャクが何かですか?」の回答。話し合いの後「写真は生々しい」にまとまり、イラストに変更して完了。

ここでの学びは、「アイデアに支配されてしまう場合には、冷静な第三者の目があるのがよい」でしょう。言い訳をするわけではないですが、イラストの案はボクの中にもあったのですが、女性のワキの写真ではまりそうなものが先に見つかったので、「これでよし」としてしまいました。
皆様もTPOをわきまえてと言うか、時と場所にあわせてと言うか、กาลเทศะ を考えてやっていきましょう。

実際の見た目にはめ込んで見る

これは結構大事なことだと思います。
Youtubeの場合には、パソコンでみるとかなり小さくにしか表示されないことが分かります。今回の場合にはライブの前にTwitterやFacebookに投稿するのが分かっているので、多くの場合には、スマホ上でこのギャグが読めれば良いという考えに基づいています。

WEBに限らず印刷物であれば、どこに並べられるのか、競合の印刷物やラックの形状により紙面のどこが隠れるのか。プレゼンの時もデザインをした画像だけをみせせるのでなく、それを実際の画面や場面にはめ込んだり、実機の端末で見せる方が話が現実的になります。

チャンネルの動画一覧 写真の中にイラストがよく目立つ
チャンネルの動画一覧 写真の中にイラストがよく目立つ

実際の動画

目を引く画像のご依頼はお気軽に

自分でやれるもので十分な人はそれで良いと思いますが、試しにこういうことを真剣に考えている人にお願いしてみたいという気になった方はお気軽にご相談ください。

あまりお金をかけられない場合には、お金との交換でなくても構いません。西尾さんの場合にはyoutubeの概要欄にリンクを張ってもらうことと交換もありましたし、カオソイ屋の手書きの看板を描く代わりに、店を利用する時には少し安くしてもらうという交換があります。互いの何かを交換することでやってみませんか?

手描きのタイ語チョークもお任せください!
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