タイでWeb制作や広告代行をしていて、Google広告やChatGPTなどの海外サービスを使っているなら、注意が必要です。実は、そういったサービスの支払いに対しては、タイ国内で「逆課税(Reverse Charge)」という形でVATを申告・納付する義務があるんです。それが今回ご紹介する PP36(ภพ.36) です。

【基礎知識】PP36とは?タイの“逆課税”制度

弊社では、2025年4月から海外サービス利用に対するPP36の申告を始めましたが、
「PP36ってなに?」「なんでこっちがVAT払うの?」
そんな疑問が出てくると思います。まずはPPという略語の意味からおさらいしましょう。

PPとは?タイ語のภพ(Por Por)から来ている略語

「PP」とは、ภาษีมูลค่าเพิ่ม(VAT:付加価値税)の略で、タイ語ではภพ(Por Por)と書きます。
この「PP」がついた書類や申告書は、VATに関するものだと覚えておくと便利です。

中でもよく目にするのはPP20(ภพ.20)とPP30(ภพ.30)とPP36(ภพ.36)の3書類です。

PP20(ภพ.20)

VAT登録証。会社設立時に税務署登録すると発行される黄色とピンクの証書です。

PP30(ภพ.30)

毎月の通常VAT申告。売上に応じてVATを納めます。

PP36(ภพ.36)

今回取り上げているPP36。海外からのサービス提供などに対して、受け手側(タイ国内の事業者)がVATを自己申告で納付する制度。いわゆる「逆課税方式」です。

他にもภพ.01(VATの申請)、ภพ.09(VAT情報の変更届)、ภพ.38(滞納時の納付書)、ภพ.40(罰金関連)、そして所得税関係の PND(ภงด.) シリーズもあり、ややこしいですが、必要なものから理解していきましょう。

【具体例】Google広告代行とPP36の関係

PP36は、通常のVATとは異なり、タイのVAT法に基づく逆課税制度(Reverse Charge)、つまり海外からサービス(Google広告・ChatGPT・Adobe・Zoomなど)を受けた場合、タイ国内でそのサービスを“消費”した企業が、自ら7%のVATを申告・納付する義務があります。「海外側では何もしてくれない=自己申告しないと納税されない」制度です。

弊社ではGoogle広告費を立て替えて代理出稿している顧客も多いので、会計方針を見直し、税務面も整えていくことにしました。

具体的に見ていきます。Google広告費の合計が100,000バーツだとVATは7%で7,000バーツ(PP36)。この広告費の7%分をPP36でタイ歳入局へ納付する必要があります。

お客さんとが「広告費+VAT−源泉税」と一般的な会計処理でやり取りをしているため、このままでは弊社が損してしまうのでは? お客さんにこの分のVATの支払いをお願いするか? とも考えたけど、どうやらPP36で納めたVATは、翌月の通常VAT申告で仕入VATとして控除可能。よって、キャッシュフロー上は一時的な負担になるが、実質的には損になりません。PP36はきちんと対応しておくことをおすすめします。

申告を怠っていてもすぐバレることはないが、税務調査時には問題になる可能性もあります。何事もバレなければOK。浮気も自分を大きく見せる嘘もバレなければOK。墓場まで持ってけよ、というやつです。

弊社での2024年4月分のPP36の請求書
2024年4月分 PP36の弊社請求書

弊社は経理のことも相談できるWeb制作会社です

弊社代表の後藤は、APK Accounting社の日本語窓口も兼任しています。
APKはバンコクおよびパタヤエリアを中心に、会社設立・会計・ビザやワークパーミットの取得および更新を一括でサポートする、タイ系会計事務所です。

設立から25年以上の実績があり、タイ系、インド系、欧米系、ロシア系、そしてもちろん日系企業まで、幅広い顧客層を抱えています。

タイでは、「日本人が日本人を騙す」という話も耳にします。文化や仕事の進め方が日本とは異なることも多いですが、APKでは、日本語検定1級を持つタイ人スタッフと私・後藤の2名体制で、日本人向けに相談いただける環境を整えています。

APKはタイ系でありながら、日本語対応が可能で、料金も明朗かつ良心的。
起業や店舗開業をお考えの場合、会社設立からWebサイトやメニュー制作まで、ワンストップでサポートが可能です。

まずはお気軽にご相談ください。