「マ・サ・ト ゴ・ト ミスター・マ・サ・ト ゴ・ト 受付までお越しください。」
免許更新の講習を受けるため、待合室のソファーに腰を降ろし本を読んでいると、自分の名前がアナウンスされるのが耳に入った。
どういう訳だか、タイ人がパスポートや書類を手に、僕の名前を呼ぶ時には
MASATOSHI の SHI を飛ばして、「マ・サ・ト」と呼ばれることがほとんどだ。
どういう訳なんだろう。
本を読んでいても自分の名前に反応できるもんなのだな、などと考えながら受付へ行き「マ・サ・ト クラップ」と名乗る。
手渡されたのは、A4サイズの書類と20バーツ札と100バーツ札1枚ずつが
ホチキスで左上を綴じられたワンセット。バイタクが持ってきたと言っている。
・ ・ ・
ここに来る前に免許の更新に必要な医者の診断書を取りに、近くのクリニックに寄った時だった。
血圧を測り、身長と体重を自らの口で伝えるだけの診断を受けて、
カウンターで書類の住所、名前、パスポート番号の欄を埋め、診断書が出来上がるのを待つ。
先生は書類を封筒に入れて差し出し「120バーツ」と言う。
「あれ? 今このカウンターの上に置いてなかったです?」
「ないわよ」
「いや、置いておいたはずなんだよなぁ」
「ないわよ。いつだって、診断書と引き換えにもらうんだから」
「あれ、なかった? え、あ、そうか。」
確かにカウンターの上に置いたような気がしたんだが、そう言われてしまうとこちらも置こうとして置いたわけでもないので、置いてなかったような気がしてしまう。なんだが、嫌な気持ちを残しながら、今度からは支払いはきちんと手渡すようにしないといけないな、と考えながら、財布から120バーツを出して支払った。
・ ・ ・
その時の120バーツが戻ってきたのだった。
どうやら先生は免許を更新に行くというのは分かっていたはずだから、書類の写しに120バーツを留めてバイクタクシーにお願いしたようだ。
なんだかこのバンコクでも、自分の利益のためなら他人に損をさせようが、道に外れることだろうが、仕方のないことだっていうようなやり方をする人に触れることもあるが、やっぱりこうでなくちゃなと心が温かくなったのは、バンコクの気温によるものとはまた別のものだった。
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