今年に入ってからEEの濃さの鉛筆(6Bのさらに上の上)は何か違うと思うようになり
どちらかと言えば薄くてカリカリ描けるFや2Hを積極的に使っていた。
ところが中国人の力強い素描の動画を見ていると
濃い鉛筆で力強く大胆に描いてみたいと思うようになった。

人一倍臆病なところのある僕は絵の描き始めにもそれがでる。
ある程度見られるようになる目処が立つまでは石橋を叩きに叩いてしまう。
もちろんそれが僕の絵になると言えばそうなのかもしれないが別の側面も見てみたい。

このところ狂ったように仕事に打ち込む日々が続いているので
パソコンから離れるため筆箱にEEの鉛筆を入れてバンセンへ向かった。
バンセンビーチの潮風の匂いは前に嗅いだ時より幾分つよく感じ
仕事のやりすぎで身体が弱っているのだと思った。

街を走っていても描きたい果物や野菜がなく
スーパーも見当たらないので少し離れた市場までバイクを走らせる。

がらんとした薄暗いアーケードに入るとすぐに柿が目に入った。
せっかく来たのでひと周りしてみたがやはり今回は柿で決まりだ。
1個12バーツの柿の実を選んでいると
おばちゃんが「ガウリー(韓国の柿)」とだけ言う。
他に返す言葉も思いつかず食べるつもりもないのだが「甘いでしょう?」と聞いてみた。

柿の素描

海の見えるの部屋でいつもより開放されて描いた柿
海の見えるの部屋でいつもより開放されて描いた柿

1月から月に1枚をやると決めている素描。
12月分がまだ残っているが今のところ今年一番の出来である。
黒の濃い部分がより黒くなったので白から黒までの色の幅が広がった。
並べてみると一目瞭然。

2017年の作品群
2017年の作品群

月に1枚というのは決して多い枚数ではない。しかしやらないことにはというわけで。
タイの諺の「กำขี้ดีกว่ากำตด(屁をつかむより糞を掴んだ方がまし)」というあれである。

来年はグラスやスプーンやクロックなんかの人工物を加えて
物の数も増やしていくことを考える。
それとこの柿にしたって終わりまでに2時間かかっているので手を速めたい。
僕は仕事は速い方だと思うしこちらも変わってくることだろう。

強烈な潮の香りのする砂浜に並べられた椅子に腰を降ろし
ソムタムを食べながら笑うタイ人たちの声が波の音に紛れて僕の居る部屋まで届く。
こんな時間が毎週々々流れているのだろう。ひょっとするとほとんど毎日かもしれない。
少し仕事の手を緩めてみようかと思う。

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この記事を投稿したのが2017年の12月。あれから1年が経って描いた素描が下記のもの。
2017には月に1枚を描くことを続けていたが、仕事が忙しくなり、これは実にありがたくて良いことでもあるのだが、やはり絵を描くことの楽しさも同じ様に捨てがたいので、仕事をもう何段階か上で落ち着けて、絵に打ち込む時間をもっと作れるようにする、というのがこれから2年くらいの目標です。

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これ以降もデッサンを続けてアップデートをしているので、お時間のある方は「デッサンをしよう。それはデザイン力を良くするし、見える世界の調整もするぞ。」の記事や、僕の作品を掲載しているMOMAoMもご覧ください。

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