僕はデザイナーとして仕事をしているけれども、絵描きでもあるので絵を描くこともやるべきことのひとつとして持っている。

小学校の頃を思い返してもらうと、教室に1人か2人上手に絵を描くのがいたと思う。僕もそういう、言ってみれば山ほどもいる、絵が他の人より少し上手に描けるというやつで、文集の表紙を任されたり、校内の写生会で描いた絵が区の展覧会に選ばれた。A3くらいの大きさの画用紙を折りたたんでポケットに入れて持ち歩き、時間ができるとそれをポケットから取り出して、何日もかけて紙いっぱいに細かい迷路を描いたりもした。

20代の後半から絵だけで食べていこうと熱心にやっていたが、まともな生活を送れるだけの金にはならずにその夢は終わった。しかし絵を描く事が終わったわけではなく、自分の絵を今後どうしていくかを考えている中で、絵の勉強をした経験のなかった僕は、やはり一度絵を描くことを学んでみる、という長い間持ち続けていたやりたいやりたいと思っているだけで、やっていなかったことをやってみることにした。

小学生の頃の芋掘りの絵と2011年の頃の絵
小学生の頃の芋掘りの絵と2011年の頃の「Cartoon abstract」というタイトルの絵

思いは叶うようで、家のすぐそばに学校が見つかったので、早速そこへ通う事にした。
学校のWebサイトには「真剣さを持ってアカデミックに教えます。」や「絵描きだけでなく、デザイナーや建築家の仕事の質も高くなります。」みたいな事が書かれていた。

Dessin と Design の関係

デッサン(素描)においては、その対象をよく観察することが重要だと言います。
対象の形、重さ、匂い、感触、他の物質との関係、描く位置からの距離や空気感などなど。よく観察して手を動かします。手を動かして、また観察する。それを終わりまで繰り返す。

デッサン画 バナナとココナッツ
2017年のバナナとココナッツのデッサン画

デザインは一般的には、見た目を飾り立てて、きれいに見せる事と捉えられている節があるので、次のようなお願いをされたことがあります。
「◯◯のようなバナーを2本作ってもらいたんだけど、お願い出来ますか?」
「はい、ではお話聞かせていただいて、どのようなものにするか考えさせていただきます。」
「いや、考えなくていいから、チャチャッといい感じの見た目にしてもらってもいいですか?」
もう少しましな言い方もあるとは思うが、お客さんはデザインのことを知らないのだから、これも仕方のない話だと考えるより仕方のない話だ。

デザインでやれる事のひとつは、ある問題解決をするために、そこに関係をつくり出すことで、WebデザイナーであればWebを、グラフィックデザイナーであればグラフィックを、モーション、ファッション、空間というようにあらゆる方面でデザインをするわけである。

問題解決をするのに何が必要か? 対象をよく知る必要がある。なのでデザインをする対象をしっかりと観察することになる。ここがデッサンとデザインの共通する大事なところだ。そのサービスや商品のこと、それが生まれる背景、依頼をしてくれたお客さんのこと、利用者のこと、社会のことなどなど。よく観察して、考えます。そして例えばWebサイトであれば、まずは公開をする。公開したら、また観察して、考えて、Webサイトの進むべきだろう道への舵を取ります。観察して、考えて、舵をとって。これを繰り返します。

よく言われるように、dessin(デッサン) と design(デザイン) の語源は、同じラテン語の designare(デジニャーレ)であるのだし、デッサンを続けるのは、デザイン力のトレーニングにもなると考えて良いだろう。

そして瞑想やヨガをやっている人には親しみのあるだろうヴィパッサナー瞑想のヴィパッサナーという言葉。これはサンスクリット語で「ありのままに観察する」という意味だから、「観察する」という言葉の意味をしっかりと考えて観察をしなければいけない。

デザインによって解決する問題は、結局人と人の話になる。
デザイナーは、人をそして世を深く知る事が必要だ。

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その後のデッサン

2017年11月

海の見えるの部屋でいつもより開放されて描いた柿
海の見えるの部屋でいつもより開放されて描いた柿

2019年1月

ザクロと先の折れた鉛筆を入れた器
ザクロと先の折れた鉛筆を入れた器

2019年12月

小さい器と二つのマナオ
プラスチック容器と紙コップ

2020年8月

SARAH SEDWICKの模写

SARAH SEDWICKの模写

2021年8月

チェリー

アプリコット

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我々の専門はWEBサイト制作ですが、それ以外にもグラフィックデザインはもとより、壁画制作、ステッカーづくり、Tシャツづくり、LINEスタンプ、店舗用のチョークアート、デザイン学校のカリキュラムづくりなど様々なお手伝いもやってきております。「こんなことできないかな?」「これができると助かるんだよな」などとお困りの方、まずはお気軽にご相談ください。クリエイティブの力で解決できることがあれば、喜んでやらせていただきます。