タイに居ればたくさんのタイ語のフォントが目に入ってきます。街に溢れる広告や指示書きの看板や店メニューなどなど。タイ語が読めないとそれは文字情報としてよりも、タイっぽさの演出としての役割が強いかもしれない。
僕ら外国人にとって馴染みのないタイ語を、タイ人デザイナー達はどのように考え扱っているのか? 彼らに近づくために、タイ語フォントのタイポについて考えてみました。

文字の横幅と高さについて

はじめに各文字の横幅と高さについて「彼はほとんどタイ人の日本人だ。」という文章を例に見てみます。まずは日本語から。

タイ語の横幅と高さを考える1
タイ語の横幅と高さを考える1

日本語は正方形の中に各文字が収められているので、行間を均一にする事が出来ます。正方形のボックスを見ると文字間も均一になっているのが分かります。漢字/平仮名/片仮名と3種類の文字を使うのに、非常によく出来ていると改めて思います。

次にタイ語を見てみます。

タイ語の横幅と高さを考える2
タイ語の横幅と高さを考える2

タイ語では、各文字の横幅と高さが異なります。文字幅が異なるのは英語も一緒ですが、英語の場合には大文字にする事で、文字の高さはある程度揃えることができます。

タイ語の横幅と高さを考える3
タイ語の横幅と高さを考える3

こうして見てみるとタイ語も英語も、日本語のように文字毎の高さが揃っている訳ではないということが分かります。

行間について

行間では文章の読みやすさを調整します。狭い行間では次に読む行が判別しづらいし、広い行間では目線の移動距離が多くなり目が疲れてしまいます。タイ語での行間についても、先ほどの例文を使って考えてみましょう。

タイ語の行間を考える1
タイ語の行間を考える1

日本語であれば、1番や2番くらいの行間でも文字同士がぶつかることはないですが、タイ語では声調記号(  ่   ้   ๊   ๋  )やいくつかの子音(  ุ  ู  ิ  ื  )がぶつかってしまいます。

タイ語の行間を考える2
タイ語の行間を考える2

タイ語のフォントでは、声調記号や特定の子音がつく文章と、そうでない文章とでは行の高さが変わってきます。デザインをする上では結構やっかいな特徴です。読みやすさを考える前に、文字同士がぶつからないように少なくとも3番くらいの行間を用意しておかなければいけません。

文字間について

文字間では、文章の印象が操作できます。文字間を広めにとってゆったりとした印象を与えたり、逆に文字間を狭めて固い印象を与えたり。

タイ語の文字間を考える1
タイ語の文字間を考える1

タイ語の場合にも、同じような印象を与える効果があるのでしょうが、cssのletter-spacingやフォトショップ、イラストレーターなどで文字間を広げようとすると、声調記号や子音も1文字と認識されて文章として読みずらくなってしまいます。

タイ語の文字間を考える2
タイ語の文字間を考える2

文字間を広げたければ、文字をアウトライン化やラスタライズしたものを画像にするより仕方ありません。そして、文字間を広げる場合には、文章として読める程度に留めておく必要がありそうです。

タイ語の文字間を考える3
タイ語の文字間を考える3

例えば

実際にどうやってタイ語がデザインされているのかを見て、もう少し考えを深めていきましょう。

タイ語デザインサンプル1
タイ語デザインサンプル1

タイ語デザインサンプル2
タイ語デザインサンプル2

この駐車場を示す看板。黄色と赤の背景の上に載る文言の最初の文字にだけ声調や子音がついているため、その右横には、まるでAmazonで買った1枚だけのCDのために届いたでかい段ボール箱の中のように無駄なスペースが出来ていますが、これはいただけません。

タイ語デザインサンプル3
タイ語デザインサンプル3

こちらの「飲んだら乗るな」の看板では、1行目の「เมา」には上下に子音が付かないので、均一の高さの中に収まっています。2行目の「ไม่ขับ」でも文字の下に付く子音がないため、こちらも均一の高さに収まっています。そして2行目の文字サイズを小さくする事で1行目と2行目の横幅を揃えて、うまくボックスの中に収めているのが分かります。使われる文字列によっては、このようにきれいにレイアウトすることができますね。
僕はこういう太字のバシッと収まっている文字組は力強くて好みです。

まとめ

僕の知っている少ないタイの慣用句に「เข้าเมืองตาหลิ่ว ต้องหลิ่วตาตาม = 片目でものを見る国では、片目でものを見よ」つまり、「郷に入っては郷に従え」というのがあります。

日本語や英語と比べると行間や文字間に対する考えが異なり、まとまりが悪いとか読みづらく感じるのは、我々が日本語を中心に触れてきた故に覚えるもので、タイ人が同じように感じるとは思えません。静かな部屋の中で聞こえる時計の秒針の音のようなもので、気にするから気になるのではないかと思います。タイにはタイの料理があり、タイの言葉があり、タイ語フォントに対する考えがあるのではないでしょうか。

僕はタイ人のデザイナーではないので、ただタイ人の真似をして終わっても面白くないと思っています。せっかくならタイ人デザイナーの感覚からは生まれないようなタイ語の扱いをして、それがタイ人にとっても実のある仕上がりになっているような扱いができるような仕事がしたいです。

タイ語フォントの使い方の基本についても合わせてご覧ください。

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