石川商事様のロゴマークを制作させていただきましたので、お知らせを兼ねて完成までに何を考え、形にしていったのかを綴らせていただきます。石川商事は、バンコクでも数ある不動産を扱う企業の中で、2002年創業と歴史のある企業です。

ロゴマーク変更のご依頼いただきました

石川商事の石川社長は、今後はスマホ対応にも備えてWebを強化する必要があるという考えから、レスポンシブでのサイトリニューアルを進めていて、制作面での理解がある方でした。当初はサイトのリニューアルのみをお考えでしたが、ロゴマークも古いから、これを機にサイト制作も含めて新しくしようという決断にいたり、今回の制作を任せていただきました。

石川商事の古いロゴマーク
石川商事の古いロゴマーク

新規事業の立ち上げ時や時代のトレンドに合わせてロゴマークを作り替えている例は多くあります。ブランディングイメージの構築や更新に役立つことはもちろん、普段手にする名刺や封筒なども新しいロゴマークに変わるので、社内に新しい風を吹き込む役目も果たし、共同意識が強まります。
ロゴマークの制作時には、Webサイト制作の時とはまた違った気持ちの高まりが沸き上がってくるものです。

ヒアリング〜コンセプト立て

競合企業はどこも創業3~4年ほどの実績の中、石川商事は創業から14年という経験を持っています。創業当時からのお話や、バンコクやバンコクの駐在員の変化などについて聞かせていただき、他には無い長い歴史から得た知見は石川商事の大きな強みであると感じました。経験は力で、その力は強い。

また、問題解決の為に行ってきた解決方法の一部も聞かせていただき、真心ある対応をされていることも分かりました。サービス業ですから当たり前と言われればそれまでですが、それを長く続けるというのは簡単なことではありません。大事な事です。

もうひとつ、僕がヒアリングの中で印象に残ったのは「生まれ変わりたいなあ」とおっしゃった石川社長の言葉でした。長く経営をされているというのは、サバイブをして生き残ってきた答えであることに間違いはないですが、同時に溜まってきた疲れを抱えていることでもあるのかもしれない。長く使った水道管に付着した水垢のように。どこかで洗い流さないといけない。ロゴマークを作り替えることで、そのお手伝いがしたいと思いました。

このようなお話を聞いて、下記3つのコンセプトを立てました。

  • 長い歴史(経験)を持つ
  • 真心こもったサービス
  • Re-Born

アイデア出し〜デザイン

第1稿デザイン

アイデア出しのため、先に立てたコンセプトを念頭にスケッチをします。

アイデア出しのためのスケッチ1
アイデア出しのためのスケッチ1

アイデアを出しながら、下記のような方針で制作を進めていこうと決めました。

  • ひとめで石川商事と分かってもらえるようなシンボルマークがあるもの
  • シンボルマークを家紋の様に見立て、歴史の長さの象徴とする
  • 真心ある対応を直線で表現
  • ロゴマーク作り替えの際には、以前のロゴタイプを基にするケースも少なくないが、今回はRe-Bornなので、以前のロゴの事は気にしない

これらを踏まえて、はじめに提案したデザイン3案がこれです。

第1稿のロゴデザイン
第1稿のロゴデザイン

第1稿をご覧になった石川社長からの回答は下記になります。

  • シンボルマークのアイデアを採用したい
  • シンボルマークは「石」の文字のみを使ってシンプルに
  • 日本語を使ったロゴが印象的なので、ぜひともこれを使いたい
  • 日本語を読めない人に向けて英語のものも用意したい

第2稿デザイン

いただいた回答を基に改めてスケッチをします。今回は「石」のシンボルマークに注力して。

アイデア出しのためのスケッチ2
アイデア出しのためのスケッチ2

次のデザインが2度目の提案に持っていったものです。

第2稿のロゴデザイン
第2稿のロゴデザイン

簡単に「石」の文字と認識されても面白くないですが、画数が少ないため、あまり削ぎ落とすと何だか分からなくなるので、そうならない所を狙いました。僕はグラフィティが好きですが、文字を読めないグラフィティは面白くありません。そして日本語の各文字の右下にはカットを入れ、「これからの更なる右肩上がりの業績を願って」と想いを込めました。

第2稿への石川社長からの回答です。

  • 制服や封筒などへの展開を考えているので、シンボルマーク単体で見た時にも安定している3つ目を採用
  • 要望のひとつであった洗練された都会っぽい感じを意識してモノクロのみで提案を続けてもらっていたが、不動産業という業態を考えて、色味で勢いも出していきたい

最終稿〜納品

どうやって色を着けるか。これまでモノクロで考えていたので、色の事が課題になりました。2稿目の提案に際して、直線の太さを調整したり並べたりしていると、僕の中にモンドリアンの「コンポジション」シリーズが浮かんでいました。直線と平面で美しい調和をつくっている。その時にこれをひとつのモチーフにしようと決めて作業を進めました。
そして色の事を考えながら、改めてモンドリアンの作品を見ると直線の交わりに生まれたスペースに着色をしている。これをいただこう。色味は不動産業の勢いや活力みたいなものを赤色で、真心あるサービスを青色でそれぞれに表現する。赤、青、白の3色。これはちょうどタイの国旗の色でもあるので、タイに根を張る石川商事にはぴったりの色の組み合わせになるだろう。

シンボルマークの微調整や縦バージョン、背景色が暗い時のもの、それと英語表記のロゴを用意した最終納品形態がこちらとなります。色が入った事により、パッと見では「石」の文字と認識するまでに、少しの時間を要するようになって良くなったと思います。

ロゴマーク最終稿
ロゴマーク最終稿

生まれ変わったロゴマークは2016年10月より世に出ており、Webサイトもリニューアル公開されているようです。新しいロゴマークの付いた営業車も、既にバンコクの街を走り回っています。まだ僕は遭遇していませんが、この記事を読んだ方の中からも「あ、どこかで見た事あるやつだ」という方が出て来てもらえれば、それはひとつ嬉しいことであります。

WEB制作会社ですが、グラフィックデザインも得意としています。

我々の専門はWEB制作としていますが、グラフィックデザイン制作も同じ様に得分野のひとつです。会社案内、チラシやフリーペーパー掲載広告用のアートワーク、ロゴマークなど様々なグラフィックデザインができるデザイナーをお探しの担当様、さあ、ごとうまさとし事務所までお気軽にご相談ください。