遡ること5ヶ月。
日本とタイの外交関係樹立から130周年を迎えるにあたっての、ロゴマーク募集のニュースが目に入ってきた。
会社を立ち上げて間もない頃で、猫の手も借りたいほどにやる事があったが、はじめたばかりの会社を少しでも有名にさせるチャンスだと思った。締め切りまでの時間は1ヶ月半。よぅし、ここはひとつチャンレンジしてみよう。
なんとか締め切りに間に合わせて、結果を待つ事3ヶ月。楽しみに待っていたが、その悲報を見たのは発表から2日後の12月24日。どうやらサンタクロースは、我が社の煙突を通り過ぎてしまったらしい。
せっかくできたものを眠らせておくのはさみしいので、厚かましいようだがここにそのロゴマークを掲載しておくことにします。

まずは最優秀デザインに選ばれたロゴマークを讃えたい

ふと思い出して、googleの検索窓に「日タイ 修好ロゴ」のワードを入力する。9月15日の締め切りから、何度かこの作業を繰り返してきたが、今回の検索結果には「公募結果」と「2日前」の文字を見つける事ができた。
「おぉっ!」一瞬興奮を覚えたが、外務省のページを開く間に「あ、事前に何も連絡なかったから選ばれてないってことだよね。。」と判断がついた頃にページの読み込みが完了。

日タイ修好130周年記念ロゴ・マーク
選ばれた日タイ修好130周年記念ロゴ・マーク

高橋氏によれば,日・タイ両国の国旗とそれぞれのシンボル的イメージを,永遠を表す無限大記号の形で相互に組み合わせることで,二カ国の良好な関係が,これからも末永く続くことを表現したとのことです。

なるほど、無限大か。会社を少し有名にさせることには失敗してしまった。まぁ、仕方ないよな。

それで僕のつくったロゴは?

さて、どんなものにしよう?日々の作業の合間に、ロゴ制作に向けての調べものをしたり、トイレやバイクに乗りながらぼんやり考えたり、構想を練っていると気づけば9月。締め切りまであと2週間。そろそろ手を動かさないと。

10年前の120周年記念ロゴ・マーク

まずはコンセプト

ちょうどこの頃にリオ・オリンピックで例のマリオの閉会式があり、会場も賑わっていたし、日本人としても悪くないものを世界に提示できたという印象を持った人が多かったと思うが、何故か?
それは提示する側の見せたいものでなくて、見る側が見たいもの=世界が見たい日本を上手に見せられたからではないか。だとすると日本人とタイ人が見たい日本とタイを、それぞれを代表するモチーフで用意する。そして日本人の僕が作るのだから漫画(カートゥーン)っぽい表現で見せる。よしっ。

モチーフ選び

富士山とลายไทย(ラーイ・タイ)と呼ばれるタイの模様や桜の花びらと菩提樹の葉のような組み合わせはどうだろう?

日タイ修好ロゴ用モチーフ1
日タイ修好ロゴ用モチーフ1

修好がはじまった1887年の日本の侍とその時代のタイの女性を並べようか。
タイではラマ5世の時代にあたるようだが、その時のタイ人女性はどんな格好をしていたんだろう?

ラマ5世時代のタイ人女性の格好
ラーマ5世時代末期の高貴な婦人の服装

あれ? なんだか不思議な髪型。
女性だからこうじゃなきゃいけない、なんて事はないんだが、絵になったときに男女の対比が分かりづらそう。いや待てよ、同性同士の結婚がある時代に、男と女を象徴として並べるか?今は明治時代でなく2016年だ。

あっ!タイと言えば、みんなに愛されている王様だから、天皇と並べるか。
昭和天皇の方がメガネかけてて絵になるかな。サングラスとメガネでキャラ立ちするかも。
いやいや、これはまずいよね。色々と意味がついて来てしまう。

日タイ修好ロゴ用モチーフ2
>日タイ修好ロゴ用モチーフ2

「話をややこしくしてるようだ。もっとシンプルに、多くの人に親しまれるような分かりやすいものにしないと。選ばれないと意味がないから。」

いいのができた!

ああでもない、こうでもないとしているうちに締め切り2日前。
考えがまとまらないままベッドに転がる。頭の中でぐるぐるこねくり回していると、ふと良さげなゾウの絵が浮かんで、それとつながるように桜の花びらのイメージができた気がした。「おや、これはいけるかもしれない」。
急いでベッドから起き上がり、鉛筆で描いて、スキャン。イラストレーターでトレース。もう夜も3時をまわっているので、明日調整をしてそのまま応募しよう。
1ヶ月半いろいろとやってきたが、結局最後に30分もかからず完成させられた。そんなものである。

そのロゴマークがこちら。

日タイ修好130周年ロゴ:後藤正年の案
日タイ修好130周年ロゴ:後藤正年の案

デザインの説明。

先日のリオ・オリンピック閉会式での日本のパフォーマンスでは、世界が見たい日本という視点で、ゲームやアニメキャラが活躍していました。
今回の日タイ修交ロゴでは、日本人とタイ人が見たい日本とタイという視点から、日本からは国花である「サクラ」、タイからは国獣である「ゾウ」をモチーフに選びました。
その2つの国の象徴がひとつの線で描かれ、歴史ある繋がりを表現しています。

最後に

今回のロゴマーク募集の留意事項のひとつに下記のものがある。

採用デザインの完成版は,両国外務省(含む大使館)が認可した対象者に配布され,日・タイ修好130周年記念行事のために利用されます。この際,サイズの調整,白黒変換以外の加工は原則として行いません。

デザイナーは具体的にどういう場所に、どれくらいの大きさで使われるのだろう?という疑問が湧いたのではないだろうか。冊子のようなものに使われるのか、記念行事を行う場所に飾られる横断幕やバックボードなのか、ノベルティーグッズでもつくるのか。だとするとどんなものを作るのか。
ヒアリングができないのだから、予定していることを分かる範囲で構わないので知らせてもらいたいものである。

また応募方法の中には次の項目があった。

3 デザイン案の趣旨に関する説明として,日本語,タイ語または英語により100字程度で応募用紙に記入ください。
(注)説明内容については、最優秀デザイン案発表の際に公開させていただきます。

これに関しては、文字数制限を持たせる必要があるのだろうか?
デザイナーが作品の説明をできるせっかくの場所なのに、ツイッターよりも少ない100文字だけとは。

この辺りにまだまだデザイナーという存在が、見た目だけをちょいちょいとやってもらえるんでしょうから。みたいな捉え方をされている地位にあることが見られると思う。
もちろんそれは僕らデザイナーのせいでもあるのだから、立場を向上させていけるような仕事をつづけていかなければならない。

WEB制作会社ですが、グラフィックデザインも得意としています。

我々の専門はWEB制作としていますが、グラフィックデザイン制作も同じ様に得分野のひとつです。会社案内、チラシやフリーペーパー掲載広告用のアートワーク、ロゴマークなど様々なグラフィックデザインができるデザイナーをお探しの担当様、さあ、ごとうまさとし事務所までお気軽にご相談ください。