「4人で1部屋に泊まれるBed and Café」をコンセプトに、2016年2月にバンコクにオープンしたホテル”kokotel”。微笑みの国タイのホスピタリティを日本品質で提供することが、子供のいるファミリー層や友人同士で旅行をする機会の多いアジア圏のゲストを中心に高い支持を得るようになりました。kokotelは、東南アジアや南アジアを中心に1,000軒のホテル展開を目指しており、この2017年にも数店舗を増やす計画です。

2017年4月現在、弊社ではSpokeさんとの共同提案を経て、kokotelのwebサイトリニューアルを進めさせていただいております。web制作を進めていく中で、webだけでなく他の制作物も含めデザインの統一をした方が良いのでは?という流れになり、提案させていただいたのが今回のお話です。

デザインのレギュレーションとは?

regulation
【名】
1. 規制、調整、制御
2. 規則、法規、法令◆通例、regulations◆【略】reg.
3. 《生物》〔胚の〕調節性◆損傷を受けても正常な状態に修復する機能。
4. 《電気》〔電圧の〕変動率
【形】
1. 規則に従った、法規にのっとった
2. 標準的な、当たり前の、無難な
英辞郎 on the WEBより

デザインレギュレーションとは、デザインをする上での規則が分かる資料で、デザインガイドラインとも呼ばれるものです。例えば、ロゴマーク単体を見ると、色はこの色を使ってね。ただし、背景に埋もれてしまう場合には、こっちの色を使うこと。角度をつけて配置してはいけないよ。とかロゴマークの上に別の要素が重なってはダメだよ。などのルール付けをしていく訳です。

様々なケースを想定しておく必要があるので、レギュレーションを作成するのは、容易な作業ではありませんが、これをしておかないとデザイナーの裁量によってルールが変わってしまいます。それほど大規模な制作に及ばないのであれば、担当のデザイナーの頭の中にルールがあればそれで十分ですし、中小企業の多くは、これに該当すると思います。

kokotelらしい制作物を続けること

先にも述べたように、kokotelは年内にもホテル軒数を増やす予定です。店舗数が増えてくると、ホテルのプロモーションやイベント告知、レストランの新メニューのお知らせ、SNS告知用につくられる画像などなど、デザイナーがつくるべき制作物も多くなってゆくでしょう。

こういう状況になってくると、ルールをデザイナーの頭の中だけに置いておくのは危険です。人間の頭の中を覗きあうことはできませんし、今後デザイナーが入れ代わることも考えておかなければいけません。状況が変わっても、それまでと変わらないkokotelらしい制作物をつくり続けるためにも、ルール作りを行い、形として残しておく作業が必要になります。

デザインレギュレーションがあることで、デザインによる「らしさ=ブランディング」が形成され、kokotelらしい品質を保った制作物をつくり続けることができ、それを迅速に行うための助けとなります。

デザインレギュレーション1
デザインレギュレーションの目的説明とデザイン要素の解説

デザインレギュレーション2
過去の制作物をレギュレーションに沿ったBEFORE/AFTER

はじめの一歩

このデザインレギュレーションは無事に納品を終えました。今後は、これをどうやって上手に社内に浸透させ、デザイナーの意識を高い所で保っていくのかを考えなければいけません。

僕自身もデザイナーとして、レギュレーション資料に目を通す機会ありますが、あまり文字量が多いもだとげんなりします。タイ人の間でも冗談まじりに挙げられるのは「タイ人は1年間に8行しか本を読まない」というものがありますから、なるべく直感的に分かるような資料づくりを心がけました(2016年には新しく、次のように指摘されています。「1年に8行しか読まないと言うのはもう止めにしよう。新しい統計では1日66分とされています!」 ※66分かけて8行読むって話ではないです。)。

運用を続けていく中で、現在のルールではどうにも対応しきれなかったり、今のルールが邪魔になるようなケースが出てくるかもしれません。または、kokotelとして新しい考えを付加したので、デザインにも新しいルールを追加しよう、など様々な話が持ち上がってくるでしょう。そういった変化に合わせて、デザインレギュレーションもアップデートされていきます。

そしてもうひとつ大事なのは、このルールは絶対的なものではない、ということです。kokotelの考えを実現するために、レギュレーションに沿って考え、手を動かすことは基本となります。しかしルールに縛られることが続くと、面白みにかけたものがつくられる可能性もあります。ルールは大切ですが、時にはルールを破っても構わないという気構えで制作に臨みたいところでもあります。矛盾したことを言っていますが、どちらも大切なのだから、こういった煩悶を重ねていくより仕方がないのです。

WEBサイト制作以外でもクリエイティブなご相談は大歓迎です!

我々の専門はWEBサイト制作ですが、それ以外にもグラフィックデザインはもとより、壁画制作、ステッカーづくり、Tシャツづくり、LINEスタンプ、店舗用のチョークアート、デザイン学校のカリキュラムづくりなど様々なお手伝いもやってきております。「こんなことできないかな?」「これができると助かるんだよな」などとお困りの方、まずはお気軽にご相談ください。クリエイティブの力で解決できることがあれば、喜んでやらせていただきます。